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002|「観光立国」はいいけれど…

「トイレが4つ以上ないと宿泊施設とは認められないなんてはじめて聞いた」。地方の観光振興策を助言しているアドバイザーのNさんは行く先々の各地の保健所でこう言われて門前払いを受けてしまうのが最近の悩みのタネだ。

昔ながらのまるで時代劇のようなたたずまいの古民家は言語がちがう外国人観光客にもおおむね好評で、「是非ここに泊まってみたい」という要望を受けることもしばしば。「それならば、いっそのこと宿泊施設として古民家を開放してみてはどうか」と思い、所轄の各所にまわった際に言われた内容が冒頭のセリフだ。

実際に旅館業法を作成した厚生労働省は省内事情に直結する衛生管理には一生懸命だが、こと話題が観光となると興味はあまりないらしい。Nさんのようなアイデアをもつ各方面からの要望を受けて、最近になってようやく国家戦略特区にかぎり既存の古民家を宿泊施設として認めた。しかしながら、これにも厳しい条件があり、「一週間以上連泊する場合にのみ」とあまり現実的な規制緩和ではない様子。

「安倍首相は2020年までには外国人観光客を倍増させるというけれど、総論賛成各論反対では動かせることもなかなか動かない。それでも地方の皆さんは私のアイデアや提案に熱心に耳を傾けてくれる。それがうれしくて、ついつい頑張ってしまう」と笑顔で話すNさんは今日も地方のため、古民家存続のために各地を奔走する。

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