環境面で見直されつつある日本の林業
林業といえば山の仕事の代名詞ともいえる職業です。森林は木材資源を生み出すだけでなく、環境的にも二酸化炭素の吸収源になったり、樹木の根が土砂の流出や崩壊を防止し、災害を未然に防いだり、飲料水の供給源になるなどその役目の大きさははかりしれません。
最近はこうした環境保全の面からも林業が見直され、国側も「緑の雇用」事業を平成16年度からスタート。同制度は”森林の担い手”を目指す人たちを育成するためのもので、基本研修、技術高度化研修などのカリキュラムに沿って技術と知識を身につけます。
いきなり研修を受ける自信がないなら、「森林の仕事ガイダンス」に参加するのもいいでしょう。これは「森で働きたい、どんな仕事か知りたい」という人々のためのイベントで、「緑の雇用担い手対策事業(林野庁)」と「林業就業支援事業(厚生労働省)」の実施主体である全国森林組合連合会が主催し、平成13年度から毎年実施されています。イベント会場内には都道府県ごとに就業相談ブースが設置され、仕事の内容や現地の実情、就業までプロセスを尋ねることができます。
また「全国林業労働力確保支援センター協議会」でも林業就業支援講習会を開催。こちらは基本的な知識の講習や実習、資格取得も含めた20日間程度の講習を実施しています。
目標年収1000万円を掲げる企業も
林業は自然の中で苗木の植え付けから木材の伐採まで、厳しい環境下での作業が必要なため、高度な技術を身につける必要があり、危険な仕事でもあります。意欲だけでできる仕事ではありません。
年収も経験や地位によって異なりますが、他の業種と比較すると条件的にはかなり厳しいものがあります。駆け出しの見習いの場合、平均年収は150万円、作業班やグループのリーダーとして班員に指示を出す班長・リーダーは250万円、さらに森林の保全と警備作業、作業工程や進行状況の把握、作業員全体を管理・指揮する技術者になると300万円ぐらい程度です。ちなみに、班長・リーダーになるまで10年、技術者になるまで約20年かかるといわれています。
しかし、日本各地の森林組合や林業会社では、生産性を向上させるために、作業効率を改善するために林業機械を増やし、賃金を劇的に向上させるところも現れてきました。年収1000万円を目指すと豪語する会社もあるくらいです。
65歳以上が総人口の28%(令和元年国勢調査)と、高齢化と後継者不足が嘆かれている今だからこそ、新しい人材に対するニーズも高く転職のチャンスといえるかもしれません。100年先の日本に責任をもって向き合う林業は、田舎暮らしを考えるうえで魅力的な仕事のひとつであることは間違いないでしょう。
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