古民家情報 ≫ 古民家を知る ≫ 5日目|古民家の移築再生に挑む【解体編】
【5日目】クライマックス近し-主要構造材へ手が届く
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前日の作業で古民家はいよいよ柱・桁・梁といった木組みを残すだけとなり、階下から空が見通せるようになりました。この日からは大型クレーンが投入され、上部の部材から一つ一つほぞや継ぎ手を外しながら取り払っていくと、昼過ぎぐらいには骨格を成す主要構造材の様子があらかた分かるようになりました。
そこからの解体は柱や梁などをある程度まとまった状態で取り外し、クレーンで平地に降ろしてから分解するという作業方法に切り替わります。昔ながらの伝統古民家は柱の足下が固定されておらず、束石に乗せただけの状態なので梁などの横に渡した部材を取り払ったらバランスを失い倒れてしまう恐れがあるからです。
だとすると、クレーンがなかった時代の解体はさぞ大変だったろうな。いや、昔の場合は「引き家」によって移転する方法が一般的ですべてバラバラに壊すケースは少なかったのかもしれないな、などと思いを巡らしておりましたが、いずれにせよ、部材を外す順序を誤ったりすれば全体の崩壊を招きかねないわけで、保存・再生を目的とした解体というのは知恵と経験が要求される「高度な専門技術」であることを改めて認識させられました。
現場管理の役目を授かり、行動を共にしていた不動産会社の若手社員も「立体パズルを解いているみたいですよね」と、感心しきり。言い得て妙のコメントに「そうだね。うん、うん」などと相づちを打っていた私ですが、あとでよくよく考えてみたら、そうしたパズルというのも、日本の伝統的な家づくりの技術をヒントにして生み出された玩具なのかもしれないと、ふと閃いたのであります。新しい発見に満足しつつ、新潟での解体シーンが脳裏によみがえり、一人でまた「きっと、そうだね。うん、うん」と頷いていた次第です。
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