農業編-養鶏

◆家畜は田舎暮らしに欠かせない

田舎暮らしを考えるうえで、稲作や野菜栽培とともになじみ深いのは家畜の飼育だろう。豚や牛が代表的だが、一時期、稲作の有機農法として注目された合鴨農法の“主役”の合鴨も、その肉は畜産物として処理される。そういった意味では稲作と畜産を組み合わせた複合農業といっていいだろう。

いずれにせよ田舎暮らしをするうえでは、家畜は切っても切り離せない存在である。なかでも一番手軽に飼育できるのが鶏。自家製卵と自家製鶏肉は田舎暮らしの特権のひとつだ。
自家用として鶏を飼うのはさほど苦労はないが、養鶏業で生計を立てようとすると話は別だ。

養鶏業は「肉用種飼養」「種鶏ふ卵」「採卵」に大別される。肉用種ではブロイラーが飼養の多くを占め、発育が早く飼育期間が短いために効率的な経営がしやすいとされている。一方、地鶏の場合は発育が遅く高くついた飼料コストなどが小売価格に反映される。そのため流通業者や小売店、さらに料理店との販路をいかに確保するかが大きな課題になるが、最近ではインターネット通販を活用しているケースも多い。

▲ケージ飼いより平飼いや放し飼いのほうが、見るからに健康的だ。

また養鶏方法は、「ケージ飼い」と「平飼い」に大別される。前者は英語のcage(鳥かご)が語源で、数万羽の鶏を鶏舎内に設置しているケージに1羽ずつ仕切って飼っている。大手の養鶏場のほとんどがこの方法だ。

飼料(エサ)を自動搬送する装置が設置してあるものや、産まれた卵を自動的に集めるコンベアを設置したものなどがあり、大量生産に適した方法である。

一方、後者は鶏をケージに入れず、鶏舎内を自由に動き回れるようにして飼う方法だ。この方法は、ケージ飼いのように、産まれた卵が鶏からすぐに隔離されないことから、汚れやキズがつく前に人手により卵を集める必要がある。したがってケージ飼いより手間がかかるという欠点もある。

◆養鶏業で生計を立てるなら「放し飼い養鶏」も選択肢のひとつ

最近注目されている「放し飼い養鶏」は「平飼い」の一種。広い敷地で自由に鶏が動き回れるようにして飼う昔からの養鶏方法で、別に目新しいものではない。

しかし、
①産卵率の低さ
②狐やカラスなどの外敵の脅威
③用地の確保
などといったリスクがあり、養鶏業を始めるに当って二の足を踏んでしまう人が多いようだ。

とはいえ近年のグルメブームや健康ブームの追い風を受けて、「平飼い」や「放し飼い」を宣伝文句に謳っている業者も多く、ブランド卵として1個50円~100円で取引きされることも珍しくない。

▲ここ数年のたまごかけご飯ブームで高級たまごのニーズも高まっている。

したがって田舎暮らしを考えるうえで、養鶏で生計を立てようとするならば、リスクが高いからといって、「平飼い」「放し飼い」を最初から諦めるのには惜しい。

また、養鶏をするに当って、近年課題になっているのが環境整備面だ。なかでも鳥インフルエンザの発生によって問題視された伝染病対策は重要だ。

鳥インフルエンザはどの産地においても起こりうるものであり、予防と並行して万が一発生した場合どう対応するかといったリスクマネジメントについて考えておくべきだろう。

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2022.02.3

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