◆不動産鑑定士は、文系三大国家資格のひとつ
不動産業会は不況の中でも比較的求人があり、転職や再就職がしやすいといわれています。不動産関連会社はどんな地方にもあるので、不動産業界で役立つ資格を取得しておくのも、田舎暮らしをするうえでは有利に働きます。
不動産関連の資格はいくつもありますが、その中で、トップクラスの難易度を誇るのが不動産鑑定士です。
不動産鑑定士は、弁護士、公認会計士とともに文系三大国家資格と呼ばれることもあり、いわゆる士業のひとつです。周辺の経済・交通等の環境面や、土地や建物に関連する法律面、さらに不動産市場等の諸条件を考慮して、住宅やマンション、店舗やオフィスといった不動産の経済価値の鑑定評価を行い、適正価格を決定する専門家です。
また、コンサルティング業務も不動産鑑定士の重要な仕事のひとつです。具体的には、マンションの建替えに関する相談、 事業計画・資金計画の指導などがあります。不動産鑑定士の仕事は地域社会の生活や経済にも大きな影響を与える業務なだけに、社会的責任も重くて公正な判断を必要とされます。
◆民間需要を掘り起こせば、地方での潜在需要も高い
不動産鑑定士になるためには、特別な受験資格はありませんが、司法試験、公認会計士試験と並んで、三大国家試験ともいわれるほど難しく、近年の合格率は10%以下です。そのためほとんどの受験者はスクールや通信教育で学んでいるようです。
試験は一次と二次があり前者は短答式で、年に一回(5月)に行われ、不動産鑑定や不動産に関する法律について問われます。二次試験は論文式で、年に一回(7~8月)に行われ、一次試験の内容に加え、民法・経済学・会計学について問われます。
また短答式試験の合格が2年間有効なので、一次試験を合格していれば、2年目、3年目の一次試験は免除されます。また、大学院で法学・商学・経済学を学び、卒業している場合は、それぞれ民法・会計学・経済学の論文試験が免除されます。
とはいえ不動産鑑定士は国家試験に合格したらすぐ資格が取得できるのでなく、試験合格後、1年以上研修を受けなければならず、不動産鑑定士としてスタートラインに立つのはかなりハードルが高いといえます。
不動産鑑定士の活躍の場は多岐に渡りますが、大別すると、企業の一員として能力を活かす「企業内鑑定士」と、経営者としての成功を目指す「独立開業」があります。 努力次第では一人で数千万円という年収を得ることも夢ではありません。
ただし地方の公共機関にまつわる不動産鑑定の仕事は、発注先の不動産鑑定事務所が固定化されてしまっていることもあり、新規参入が難しいともいわれています。
しかし、地方の不動産鑑定事務所は民間の需要に対する関心が薄い傾向にあるので、公共機関の仕事に頼らずに民間の需要を開拓すれば突破口は十分あります。また景気も上向き傾向にあり、不動産の投資判断業務も増えてくると見込まれているので、田舎暮らしの生計を立てる手段として有効な資格といえるでしょう。
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