農業編-稲作一本で生計は困難か?

■稲作一本で生計は立てるのは難しい

田舎暮らしを考えるとき、多くの人が「自分が食べる米は自分で作りたい」と思うようです。農家の人によると、自分の家で食べる分だけの米を作るのは、さほど難しくないといいます。しかし、稲作だけで生計を立てるとなると話は別です。

現在のところ米の値段は1俵13000円前後です。1反(1000㎡)当たりの収穫量はだいたい8俵といわれていますから、1反で104000円の収入となります。となると稲作だけで1年間生活できる十分な収入を得ようと思ったら100反(10ha)は必要になります。

これだけまとまった土地を獲得するのは不可能に近く、例え運よく手に入れたとしても、それだけの規模になると1人や2人の力でカバーできません。当然トラクターや田植え機、コンバインなどを購入することになり、その費用だけでも最低1000万円くらいはかかるでしょう。

さらに機械の燃料代をはじめ育苗にかかる消耗品や輸送コスト、各種税金など思っている以上にコストがかさむものです。忘れてならないのは台風などの自然災害です。稲作の収穫は基本的には年に1回です。収穫時に災害に遭えば、それまでの苦労が水の泡になりかねません。

▲稲作一本で生計を立てるのは困難

photo by:yo_see(photost.jp)

■付加価値をつけて独自ルートで販売する

稲作は繁忙期といわれる田植えと稲刈りの時期以外は、他の農作物に比較すると手間がかかりません。日本の多くの農家が、農閑期には野菜や果樹を栽培したり、他の職業に就いたりしているのもそのためです。

どうしても稲作一本で生計を立てるとしたら、生産だけでなく販売ルートまで考えた米作りをする必要があります。

1995年にスタートした食糧法により野菜や果物と同じように米も自由に売ることができるようになりました。しかし長い間、日本の生産者は農協に頼ってきたため自ら販路を開拓しようにも、その方法が分からないというのが現状です。

しかし独自の販売ルートを開拓できれば、市場価格より高い米価で消費者に販売することもできます。ちなみに直接販売の相場は白米10キロで5,000~7,000円となり、農協を通すよりも利益効率は高くなります。

しかし、消費者にしてみれば、スーパーや米穀店で購入する米より高い値段で購入するわけですから、それだけの付加価値がなければ購入しません。

かつては無農薬栽培というのが大きなウリのひとつでしたが、最近ではそれだけで差別化するのは困難になりつつあります。使用する肥料もシジミの殻をリサイクルしたものや、ハーブを加えたものなど独自の取り組みをしている生産者が増えています。また黒米や赤米などの古代米に取り組んでいる生産者もいます。

現在、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の参加を巡って揺れていますが、世界状況からすると農産物の自由化は避けられません。だからこそ自分たちが作ったものにどんな付加価値をつけて販売するのか――、これが大きな課題となるのは間違いありません。田舎暮らしで就農を考えるなら、そのあたりをしっかり意識することが重要になります。

▲どんな付加価値をつけるかが成否のわかれ目

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2021.10.3

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