◆サムライ業は田舎暮らしをするうえでも魅力的な職業
士業というのは、弁護士、弁理士、司法書士、行政書士、公認会計士などのように○○士という名前を持つ資格の俗称で、「サムライ業」と呼ばれることもあります。
高度な専門知識を必要とされる国家資格でもあり、希少価値が高い反面とても難易度が高く、合格率がわずか1桁台というものも珍しくありません。
士業には独立開業型と勤務型があり、前者は弁護士、社会保険労務士、司法書士、行政書士、中小企業診断士などが代表格です。
一方は、後者には測量士、社会福祉士、建築士などで、独立開業型の士業に比べるとどうしても収入が低くなりがちですが、ある一定水準の収入は得ることができます。
田舎暮らしをする際、こうした士業は収入面もさることながら、地元では名士と呼ばれる存在になる可能性が高いのも大きな魅力といえるでしょう。
田舎暮らしをするうえで士業は魅力的な資格であるのは間違いありませんが、国家資格ゆえにそのハードルが高いのがネックです。
司法書士、公認会計士、不動産鑑定士、弁理士あたりは、受験生のほとんどが一流大学や大学院出身者ばかり、「田舎暮らしをするから資格を」と付け焼刃で受験しても太刀打ちできないでしょう。そこで士業の中でも、頑張り次第では合格できる資格をこれから数回に分けて紹介します。
◆これからの行政書士は経営手腕を試される
数ある士業の中でも人気があり、普通のサラリーマンや学生でも努力すれば合格できる可能性のある資格として真っ先に思い浮かぶのは行政書士でしょう。
行政書士の仕事は、行政書類(官公署に提出する書類)の作成・提出を行ないます。具体的には、 「飲食店の営業許可」「会社設立に関する書類」「建設業の許可」「相続関係の書類」 「自動車関係の書類」「内容証明作成」などで、その種類は1万種類以上ともいわれています。
俗に「代書屋さん」などと呼ばれていますが、一般の人ではどのように書けばいいかわからない書類を作成したり、必要な申請を行なったりするのが主な行政書士の仕事です。
行政書士になるためには、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士などの資格を持っているか、行政書士試験に合格することが必要です。
行政書士の試験は受験資格に条件がなく、誰でも受けることができる反面、政治、経済、産業、社会などの広い範囲から、制度や法律もふまえた高レベルの思考力が必要で、特に重要な法令関係の勉強には初めて法律を学ぶ人はかなり苦戦が強いられるでしょう。
試験内容は法令問題46問、一般知識14問の合計60問と決して多くはありませんが、合格率は2~8%台と低いことでも試験の難易度の高さが窺えます。
行政書士の資格は実務経験がなくても独立開業でき、必要な設備もパソコンとプリンターぐらい。こうした点でも田舎暮らしをする上では魅力的な資格といえます。
とはいえ行政書士の看板を上げれば、すぐ仕事が舞い込むほど甘いものではありません。
独立開業ということは起業することと同じです。
コネクションを多く持っているならいいでしょうが、移住先が全く知らない土地の場合は、ゼロから営業活動を始め、集客を図り、顧客満足度を上げることで初めて商売として成立します。
「あそこの先生(行政書士)に相談したけどダメだったよ」などという悪評が立つと開店休業状態になりかねません。そういった点では都会で開業するよりも厳しいといえるかもしません。資格取得とともに経営手腕を身に付けことを心がけましょう。
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