自営編-ペンション経営

ペンション経営は特色を出さないと難しいと言える。

■ペンションの市場規模は半減している

これまで田舎暮らしをするうえで、どんな仕事があるかを検証してきた。企業に就職するにしても、新規就農を目指すにしても、そう簡単なものではないことがお分かりいただけただろう。

それなら起業して自ら事業を起こすという選択もある。たとえ移住先に自分に合う仕事先がなくても、自営業なら自分の得意な仕事を創出できるし、自分のペースで仕事ができるからだ。

田舎暮らしの自営業として、真っ先に思い浮かぶのはペンション、民宿など宿泊施設経営だろう。

日本でのペンションの第1号は1970年に草津で誕生したといわれており、いわゆる洋風民宿として広まり、その後、大学生などの合宿向け、若年層カップルの利用を中心に市場を拡大していった。

「レジャー白書」によると、その市場規模は1990年代前半には470億円に達するものの、バブル崩壊以降は徐々に下降、2003年には180億円と200億円を切ってしまった。

もともとペンションはリゾート地に多く、リゾートホテルよりも割安な価格で集客に成功してきた。しかし、バブル崩壊以降、リゾートホテルの低価格化が進んだことで、施設のグレードでリゾートホテルよりも劣るペンションの集客力に陰りが見えてきたことが市場縮小につながっていると思われる。

長引く不況の影響で、国内旅行の需要も低迷していることを考えれば、田舎暮らしをするに当って、ペンション経営で生計を立てるのは無謀と指摘する声もある。でも本当にそうなのだろうか。

■個性的なペンションを作ることが繁盛店への道

ペンション経営が厳しくなり廃業に追い込まれるケースが増えている。しかし、その半面、順調に売上を伸ばしているペンションもある。一体その差はどこにあるのか。

かつてペンションはカップルや若いグループを対象にしていたが、最近、売り上げを伸ばしているのは乳幼児を含めた家族連れやペット同伴を謳ったペンションだ。これは客層そのものを変え成功した例だろう。

リゾートホテルに対して家庭的なサービスをウリにするケースが多かったが、今はその程度では顧客は満足してくれない。料理をウリにするペンションは多いが、例えばデトックスやアンチエイジングメニューを取り入れたり、ダイエット料理に運動を組み込んだダイエット合宿を企画するなど、もっと独自の特長を出すことで差別化を図る必要があるだろう。

差別化というと難しく考えがちだが、天体観測、トレッキング、草木染、燻製作りなど自分の趣味を活かすことで自然と自分のカラーを出すほうがいい。目先の流行に乗って色々なものに手を出しても、うわべだけをなぞることになり、中途半端になってしまう危険があるからだ。

▲天体観測など趣味を活かして差別化を図る。

最近は経営が成り立たず物件を手放す人も増えているおかげで、質のいい中古物件が比較的に安価に購入できる。なかには土地・建物、調度品まで揃って、すぐにでも営業がスタートできる物件も珍しくない。初期投資を抑えられるというのはかなり魅力的だ。

以上のことを考えると、田舎暮らしの生活手段のひとつとして、ペンション経営も十分選択肢に入るのではないだろうか。

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2023.04.1

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